相対テンス(みん日の23課 A2)は なかなかうまくいかなかった
23課のA2は、教えたあとに、質問が出て、もう一度、説明することになってしまう授業が続いていました。
これなら、教えたと言えそうだ
本題に入るまえに、「〜ます」と「〜ました」のテンスを確認しておく。これは必須です。
時間に見立てた長い矢印をホワイトボードに書いて、真ん中あたりに印をつけて「いま」にします。
「いま」の左に「きのう ともだちにあい( )」と書き、「いま」の右に「これから ともだちにあい( )」と書き、かっこの中が、「ました」か「ます」か、学生に言わせて、確認することが必要です。
以下が授業用のプリントです
次のプリントの1ページが学生用で、2ページが教師用です。
( )の中に どんな言葉が入るか、学生に考えさせました。
最初に、「今日は文法(grammar)を勉強します」と言いました。
「A〜E」と「FとG」の時間の違いについては、「A〜E」は時間が二つ、「FとG」は時間が一つ、時間が同じ、そのときは「ル形」だと説明しました。(みんなの日本語では、「同じ」は33課の新出語彙です。)
考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法(原沢伊都夫)では、「相対テンス(継起関係の従属節)」、「同時関係の従属節」という節を立てています。
相対テンス説明用スライド
①②③④は、アニメーションの順番です。
空白の( )に どんな言葉が入るか、学生に考えさせます。時には、二択にして学生に答えさせます。
参考資料
従属節のテンスは、主節のテンスとは異なり、主節で表される出来事との時間的前後関係を表します。
初級を教える人のための日本語文法ハンドブック 庵功雄他 p50
従属節のル形は主節で表される時点以後の時点を、従属節のタ形は主節で表される時点以前の時点を、それぞれ表します。一方、主節のル形とタ形は発話時との時間的前後関係を表します。
このように、従属節のテンスは主節のテンスに従って相対的に決まるので相対テンスと呼ばれます。
初級を教える人のための日本語文法ハンドブック 庵功雄他 p51
このように、1つの文で2つの出来事を表すとき(主となるものを主節、従となるもの従属節と呼び、文の並びにおいては主節は原則的に最後に来ます)、従属節のテンスは主節の時点を基準に決定されるわけです。
考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法 原沢 伊都夫 p68
このように、主節の出来事が起きた時を基準とするテンスを相対テンスと呼び、発話時を基準とする絶対テンスと区別されます。相対テンスになる従属節は、「〜ときに」「〜まえに」「〜あとに」など、2つの事柄が順番に起こる継起的な場合に限られます。また、主節は必ず絶対テンスになります。
考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法 原沢 伊都夫 p69